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別れる理由
別れる理由
 ここ最近は小島信夫にはまっていました。「小島よしお?」と勘違いされた方がいましたが、語感が似ているだけであちらとは全く関係ありません。とはいえ小島信夫も明治大学で教授をしている時に、英語の授業でビートたけしを教えたことがあるそうですから、あながちお笑いと無関係というわけでもないでしょう。ちなみにビートたけしの成績は相当優秀だったそうです。
 小島信夫は戦後文学の潮流である「第三の新人」の1人としてデビューした作家です。「第三の新人」というのは吉行淳之介や遠藤周作といった作家をまとめた名称ですが、彼らに共通するのは戦争やマルクス主義といった大きなことから離れ、もっと身近な自分の生活を題材にした作品から書き始めたということです。もちろん次第に彼らは自分固有の問題意識を深めていき、吉行なら「性」、遠藤なら「キリスト教」といった主題で次々に作品を発表していきます。小島信夫もまた「家族」という主題を突き詰めていき、この『別れる理由』という途方もない問題作で野間文芸賞を受賞します。
 『別れる理由」は12年にわたる毎月の雑誌連載から出来上がった小説です。12年という長い歳月は外見や内面にわたって、ときに人をまるで別人のように変化させます。小島信夫も例外ではありません。毎月発表していくうえで、先月までに発表してしまった部分は取り返しのつかない、やり直しのきかない過去として作者を追い込んでいきます。そうして『別れる理由』という作品のストーリーは次第に崩壊していきます。要約すれば、主人公の前田永造は講演中に突然女になり、その周囲では合唱が始まり、その後には馬になり、アキレスの馬とアキレスの家族を巡る対話をし、ついには作者である小島信夫に電話をするようになり、最後は文壇のパーティー会場にまで現れるようになるわけですが、こうした要約だけでもいかに作品が崩壊してしまったかがわかってもらえると思います。凡百の作家であればとっくに連載を打ち切っているはずでしょう。しかしこの『別れる理由』はその崩壊をあえて読者に見せ続けることで一つの作品になるという、前代未聞のアクロバティックな方法をとっています。そしてこの作品で表現されている「一度起きてしまったことのやり直しのきかなさ」に僕は時間の残酷さを思うのです。
【2007/09/22 23:51】 | | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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