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太陽
太陽
 ここ数日の間に『父親たちの星条旗』『硫黄島からの手紙』『太陽』と、太平洋戦争末期を描いた映画を3本続けて見ました。その中でも、ロシアのアレクサンドル・ソクーロフが監督した『太陽』は、終戦前後の昭和天皇が主人公という少々デリケートなテーマであったため、日本での公開が危ぶまれていたのですが、昨年ようやく公開されたということで話題になった作品です。
 戦争映画でありながら淡々としたストーリーと静謐な映像は、ロシア映画の先達であるタルコフスキー監督の映画を思い起こさせます。仮に日本人がこうした映画を製作した場合、昭和天皇の戦争への関与をどう扱うのかという問題はどうしても避けられないのですが、ロシア人の手によるこの作品でクローズアップされているのは、もう少し違うテーマなのです。
 この映画において、昭和天皇とその周りにいる人達との会話はいびつなものであり、両者の間でコミュニケーションが成立していないという状況が常に生じています。旧約聖書にもあるように神様と人間のコミュニケーションはたいてい成立しないものですが、こうした言語的食い違いをこの作品は上手く描いています。そうした悲喜劇的状況を描くことによって、この映画のテーマである、「現人神」と呼ばれた昭和天皇の「神性」がいかなるものであったのかが、よく表現されていると思います。
 このような日本語のコミュニケーションの齟齬という難しい問題を、どうしてロシア人スタッフが描くことに成功したのか、僕には不思議でならないのですが、それはともかく、昭和天皇のモノマネという域を遥かに凌駕するイッセー尾形の名演や、ソクーロフ監督の得意とする映像美も含めて、一見の価値のある映画だと思います。
【2007/08/03 01:04】 | 映画 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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