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熊谷守一
熊谷守一

 昨夜、どこから迷い込んできたのか、風呂場で蟻を見つけました。風呂につかっている以外することもないので、じっと蟻が壁伝いに歩いたり止まったりする姿を見ていました。
 「蟻の歩き方を幾年も見ていてわかったんですが、蟻は左の二番目の足から歩き出すんです」
 画家・熊谷守一の言葉です。蟻が歩いている姿を見ると、僕はよくこの言葉を思い出します。本当に蟻は左の二番目の足から歩き出すのか、人によっては冗談としか思えないような言葉でもあります。しかし極限まで研ぎ澄ました観察力で、対象の色や形をギリギリまで削ぎ落とした彼の絵を実際に見ると、彼の言うとおりに蟻は歩くのだということを僕は信じたくなります。
 熊谷守一は60歳を過ぎてから、ようやくそのスタイルが完成した大器晩成の人です。若い頃は困窮生活の中で、三人の子供を幼くして亡くしています。その時のことを振り返って、彼はこう言っています。
 「次男の陽が四歳で死んだときは、陽がこの世に残す何もないことを思って、陽の死顔を描きはじめましたが、描いているうちに“絵”を描いている自分に気がつき、嫌になって止めました」
 息子のために絵を描いていたのに、いつの間にか自分のために絵を描いている自分。悲しいはずの息子の死顔を、いつの間にか絵の対象として鋭く観察している自分。そしてそんな自分から逃げ出せない自分。画家であることの“業”がこれ以上表現された言葉を僕は知りません。
 晩年彼が暮らした池袋の自宅跡には、現在、彼の美術館が建てられています。彼の絵に興味を持った方は、是非行ってみてください。僕も見に行きましたが、素晴らしい作品がたくさんありました。
【2007/06/25 23:34】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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