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ゴールドベルグ変奏曲
ゴールドベルグ変奏曲
 椅子に座ってこちらを見る気難しげな男ひとり、このCDの演奏者グレン・グールドの写真です。「バッハの最も偉大な演奏者」とまで言われた彼は、従来の演奏基準とは全く異なる曲解釈、極端に低い椅子に座って猫背でピアノを弾く姿、31歳でのコンサート拒否宣言等々、後世に様々な伝説を残しています。
 そんな彼の代表作がこの「ゴールドベルグ変奏曲」になります。そもそも、この曲はJ.S.バッハがカイザーリンク伯爵の不眠症を癒すために書いたものですから、聞いているうちに寝てしまうというのが最も正しい鑑賞方法なのですが(笑)、このグールドの演奏はそれを許してくれないほど、明晰な音とリズムによって貫かれています。行きつけのジャズ喫茶のマスターはこの演奏を「スウィングしてる」と評しましたが、なるほどそんな言葉もこの演奏にピッタリです。
 何度聞いても新たな発見のあるこのCD、もし無人島に行くようなことになったら、僕にとっては必携のCDであることは間違いありません。
【2007/08/08 21:57】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
村治奏一演奏会
音文ホール
 昨夜は音文ホールへクラシックギターを聴きに行ってきました。演奏者は実力派若手ギタリストの村治奏一。村治佳織の弟といえば、わかる方も多いのではないかと思います。
 今までクラシックギターの演奏会は行ったことがなかったのですが、今回は彼のギターを製作している中野さんから演奏会の話をうかがって、個人的にも「A列車で行こう」や「フェリシダーヂ」といった、ジャズやボサノバのスタンダードナンバーが、どのようにクラシックギターでアレンジされるのかに興味があったので、仕事をちょっと早めに切り上げて行ってきました。
 演奏は前半が古典、後半が現代音楽を中心に構成されていました。F・ソルなどの古典の作曲家にあまり詳しくないこともあって、僕としては後半の方が面白く聴けました。技術的に非常に上手かったのはもちろんですが、演奏者自身の個性なのか、演奏からは穏やかで懐の深い感じを受けました。姉の村治佳織のCDを持っているのですが、彼女の方はもう少し情熱的というか激しさを表に出してくるような気がします。
 楽器で音を出す以上、演奏者によって個性が出るのはもちろんですが、クラシックギターという楽器はその構造のシンプルさゆえに、そうした楽器の中でも特に演奏者の性格が出やすいのではないかと、素人の考えですが個人的にはそんな感想を持ちました。リラックスできたいい演奏会でした。

【2007/07/14 23:24】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
『THE AMAZING』
the-amazing

 10年以上ジャズを中心に音楽を聴いています。ジャズというとちょっととっつきづらいというイメージがあるかもしれませんが、このバド・パウエルの「THE AMAZING」はメロディアスな曲が中心ですから、ジャズを初めて聴いてみようという方にもおススメできます。
 高校生の頃、友人とジャズ喫茶に行ったりして、その頃からジャズにちょっと興味はあったのですが、自分でお金を出してアルバムを買うというところまではいきませんでした。大学生の時に、その友人の家でこの「THE AMAZING」を聴かせてもらった後、もう一度自分の家で聴きたいと思って買いに行ったのが、自分にとっては初めてのジャズCD購入になりました。そして家に帰ってから繰り返し聴いたのを覚えています。
 このアルバムが製作された1958年、バド・パウエルは麻薬中毒や精神疾患から、かつてのようなキレのある演奏は次第に困難になっていました。演奏中に時おり聞こえてくるバド・パウエルのうめき声から、彼の精神的な苦しみをかいま見ることができます。しかし彼自身がどんな深い闇のようなものを背負っていたとしても、このアルバムの中で彼が奏でるピアノの旋律はとても美しく、全盛期を思わせるプレイを堪能することができます。
【2007/06/20 22:52】 | 音楽 | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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