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ハンマースホイ展
ハンマースホイ

 先日、東京の国立西洋美術館で開催中の「ウィルヘルム・ハンマースホイ展」に行ってきました。ハンマースホイは19世紀末から20世紀にかけてデンマークで活躍した画家ですが、死後急速に忘れ去られ、近年になってようやく再評価され始めた画家です。僕も恥ずかしながら今回の展覧会で初めてその名前を知りました。しかし上の画像にもあるように、どうしてこれだけの絵が描ける画家が1世紀近くも忘れ去られていたのだろうと思うと不思議でなりません。風景や人物、無人の室内など色々なモチーフで描かれていますが、共通するのはどこか寂しげな感じ、温度の低い乾いた感じとでも言えばいいのでしょうか、一方それでいてじっと見続けていたくなる居心地の良さも僕は感じました。展覧会もなかなか好評なようで平日にもかかわらず、日本の知名度のわりには多くの人が来場しているようでした。100点近い作品があるので結構見ごたえもあります。おススメです。
【2008/10/31 23:46】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ポップアート展
ポップアート展

 現在、松本市美術館で開催中のポップアート展に行ってきました。雨だったせいか館内はお客さんも少なく、ゆっくり見ることができました。
 この美術展はウォーホールやリキテンシュタインといった、1960年代から現代までのアメリカの現代美術の作品を集めたものです。展示作品は上の画像のようなシルクスクリーン版画や、アクリル絵具による抽象絵画が多いせいか、以前に画集で見たものを実際に見て、作品の印象ががらりと変わることはあまりありませんでした。そうした点からすると、この美術展の見所はおそらく、一点一点の作品というよりはむしろ、全ての展示作品を見ることによって、アメリカ現代美術全体のムーブメントを一望することができることではないでしょうか。
 1960年代のアメリカを席巻した猥雑なポップアートが食傷気味になってくると、今度は極限まで無駄を削ぎ落としたミニマル・アートが流行し、その不毛さに耐えられなくなってくると、今度は一見落書きのようにも見える新表現主義の作家が台頭するというように、アメリカ美術が猥雑と静謐の間を行ったり来たりしていたことが、この美術展を見るとよくわかります。
 では現在は?ということになると、この美術展でも展示していたマリーナ・カポスや、故人ですが日本の石田徹也のように、社会に対するユーモアや不安といった、画面から何らかの物語を感じることのできる、ストーリー性豊かな絵が中心となっていくのではないか、と個人的には思っています。
【2008/07/09 22:45】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
アンカー展
アンカー
 ゴールデンウィークは6,7日と店舗の方を休業させていただきました。といっても普段平日が休みのため、どうも周りに人が多い休日というのに慣れなくて、結局近場にしか出かけなかったゴールデンウィークでした。
 そんな中、松本市美術館で開催中の「アンカー展」に行ってきました。アルベルト・アンカーはスイスの画家で、日本ではあまり有名ではありませんが、東京から巡回中のこの展覧会は各地で好評のようで、実際に行ったお客さんの話からも是非行かなければと思っていました。
 アンカーは子供や老人の人物画を中心に描いた人で、上の絵のようにとても写実的な画風です。フェルメールの影響も若干あるのでしょうか、窓から入る光が人物を照射している絵が多いように感じました。また屋外にいる人物を描いた絵は風景の隅々まで克明に描写され、同じスイスの画家のセガンティーニとの共通点も見出すことができました。そして何よりも見ていて楽しいのは、子供の表情がとても豊かに描かれているので、「この姉妹はとても仲がいいんだな」とか「この子はもう積木遊びに飽きたんだな」など、絵の中で子供の心情を想像できることです。
 松本市美術館では5月18日まで開催だそうです。時間があれば是非。
【2008/05/07 22:29】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
横山大観展
横山大観
 こんばんは。久しぶりのブログ更新。ここ最近気分がいま一つ乗らなかったのですが、しばらく更新が滞っていたせいで「ブログどうした?」と訊かれることが多くなり、これはいかんと思い直しての復活です。
 さて今週の水曜、木曜と東京へ行ってきました。友達に会ったり、買物をしたりもしたのですが、主な目的は国立新美術館で開催中の横山大観展を見に行くことでした。平日だったのでそんなに混んでいないだろうと思いきや、入場に並ばなければいけないほどの盛況ぶり。中でも今回の目玉、全長40メーターにも及ぶ絵巻物「生々流転」の全体を見ることができる展示コーナーは、ベルトコンベアーのように歩いて鑑賞しなければならなかったため、後ろから次々と来る人に押され、ゆっくり鑑賞することも出来ないほどでした。それでも水蒸気から生まれた一滴の水が、滔々と流れる大河になり最後は渦巻き龍の姿に形を変えるという「生々流転」の壮大なスケールを堪能することができました。
【2008/02/29 23:41】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
ムンク展
ムンク展
 今週は上野の国立西洋美術館で開催中のムンク展を見てきました。ムンクといえばあの『叫び』があまりにも有名ですが、今回の展覧会には来ていません。とはいえムンクの作品を初期から後期に至るまでバランス良く、100点余りを集めた展覧会ですので見ごたえは十分です。
 さて最近僕は展覧会に行くと、音声ガイドを借りて鑑賞することが多いのですが、今回のムンク展の音声ガイドは他の展覧会に比べて、絵のモチーフを精神分析的に解説しているように感じました。つまり「この左端の女性は死を象徴している云々」といったような解説なのですが、こうした傾向は逆に言えば、ムンクの絵自体が精神分析的な言葉を引き寄せてしまう強いテーマを持っているためとも言えるでしょう。
 ムンクは作品の出来不出来の差が激しい画家だと僕は思っていましたが、実際に展覧会を見てもその印象は変わりませんでした。良いと思った絵は「不安」や「死」といったテーマが強く感情に訴えかけてきますし、逆に良くないと思った絵はそうしたテーマの表現が図式的過ぎて面白みに欠ける、というように、やはり良い意味でも悪い意味でもムンクは「テーマの画家」なのだと再認識した次第です。

【2007/12/16 01:48】 | アート | トラックバック(0) | コメント(0) | page top↑
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